日本沈没

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全般[編集 | ソースを編集]

  1. 1973年に刊行された小松左京のSF小説及びそれを原作とした作品。
    • オイルショックや狂乱物価などの社会不安漂う世情をとらえ大ヒットした。
      • ただし執筆開始は高度成長真っただ中の1964年。
    • 当時のティーンエージャーには「もし日本が沈むとしたら?」ということを友人と語り合った人もいたらしい。
  2. タイトルは「にっぽん」沈没が正しい読みらしい。
    • だがNHKのラジオドラマでは「にほん」沈没だった。
  3. 基本的な展開は次の通り。
    • 地球物理学者の田所博士が日本列島の異変に気付き調査開始。
      • 主人公の小野寺も潜水艇パイロットとして関わる。
    • 田所博士は調査の結果「日本列島が沈没する」という結論に達する。
    • 政府も国民脱出計画を開始させる。
    • そして全国各地が沈み始める・・・。
      • まだ多くの日本国民が脱出していない状態だったためここでも多くの犠牲者が出る。
      • たいていのバージョンで東京は派手に破壊される。
    • ヒロインとして「阿部玲子」という女性も出てくる。
    • ただし令和に入ってからの作品では上記のような展開はあまり踏襲されない。
  4. なお実際にはこの作品で描かれるような地変が起きるとしても数百万年はかかるらしい。
  5. 大ヒット作品の常として様々な作品でパロディ化されている。
    • 特に「日本以外全部沈没」(筒井康隆)は映画化もされた。
      • 奇しくも「日本以外~」が映画化されたのはリメイク版の公開と同じ2006年だった。
        • 作者である筒井も酒場の男役として出演している。
      • 読むと「1973年当時この人生きてたのか…」と驚かされる。
    • 原作者の小松左京自身もパロディ短編を書いたことがある。
    • 「ふしぎの海のナディア」にも複数のパロディが盛り込まれた。
  6. 下記のように21世紀になっても新作が制作され続けている。
    • 日本が災害列島であり続ける限りこれからも新作が制作され続けるであろう。
  7. 本作のおかげで地球物理学に興味を持ち学者になった人もいるという。
    • 当時否定派も多かったプレート・テクトニクス理論の定着に貢献したといわれている。
  8. コロコロの漫画でもネタにされたことがある。
  9. そもそも「日本列島がなくなるとわかったら日本人はどうなるのか」というのが主題なのだが、作者がなかなかその後を書かなかったり(実際に出たのは2006年)したいろいろなのでだいたい災害パニック映画として書くとなんか変な感じになる。
  10. これを見て実際に海外移住を決めた人がいたとかなんとか。
  11. ちなみに(第一部としての)結末としては日本列島が完全に海中に没したりしなかったり。
    • 「第二部」では山の一部が岩礁として残る、2006年映画版や2021年ドラマ版では沈没が途中で停止し可住区域が一部残る。

バージョン別[編集 | ソースを編集]

小説[編集 | ソースを編集]

  1. 設定上は「197X年」の話なのだが当時存在するはずのないものが多数出てくる。
    • ボーイングの超音速旅客機や日本による東イリアンマイクロネシアの信託統治など実現しなかった事柄もある。
    • 映像作品などでは大体カットされている。
    • 関空も青函トンネルも完成済み。
      • 但し関空があるのは史実の泉州沖ではなく神戸沖。
  2. 刊行当時首相在任中だった田中角栄も読んだらしい。
    • 「縁起でもないタイトルだ」と激怒したらしく映画第1作ではNEC(官公庁の仕事も多く受注)の協力がクレジットから削除されてしまった。
  3. ラストの「第一部 完」が「日本沈没 完」にならないと思った人は当時どれくらいいただろうか・・・。
    • 映画リメイク版公開の2006年にまさかの「第二部」刊行。
      • おかげで脱出できた日本人の数やおおよその沈没時期も特定可能に。
      • 第1部序盤の伊豆の地震が「197X年」発生、沈没から25周年の慰霊式典の時点で21世紀だったので日本沈没の時期は1976-81年のいずれかと推測される。
    • 日本人を多く脱出させすぎて話をまとめづらくなり第二部の執筆には数十年かかった。
      • 第三部の構想もあったらしいが、小松曰く「(第三部を)もし作るとしたら宇宙に行くしかない。宇宙にメガフロートを作ろうかと話している」とのこと。
  4. 当初は「日本人が国土を失ったらどうなるか」ということが描きたかったため沈没後から書く案もあった。
  5. オリジナル版(光文社カッパ・ノベルズ)の表紙は上巻が日本列島、下巻が富士山が沈んでいくいかにもな図になっている。
    • 因みに角川文庫版は上巻が東京、下巻が京都が沈んでいく図となっている。

映画[編集 | ソースを編集]

  1. 1973年版、2006年版とも大ヒットを記録したが原作ファンの間での評価は大きく異なる。
    • 特にリメイク版は小野寺と阿部玲子の恋愛要素増加や意外過ぎるラストのため概して評価は高くない。
      • 2020年版や2021年版の評判が良くなかったので相対的に2006年版の評価が上がる…ということはなさそう。
    • リメイク版には富野監督(京都の高僧役)や庵野監督が一瞬だけ出演していた。
    • 実は73年版にも原作者の小松がゲスト出演している。
  2. 現在の風潮からして地上波での放映はもはや極めて困難と思われる。
    • 特に旧作には現在では不適切とされるセリフや犠牲者の遺体が大写しになるシーンがあるためさらにハードルが高そう。
  3. リメイク版が公開された2006年は奇しくも小説版で日本が沈没した「日本の人口が減少に転じた翌年」だった。
  4. 06年版は政府専用機、潜水艇「わだつみ」(=現実の「しんかい2000」「しんかい6500」)など実在のメカが破壊される場面が多い。
    • よく空自や海洋研究開発機構(JAMSTEC)が許可したものだと思ってしまう。
    • さすがに沈没を止めるために核爆弾を使用するという描写は許可が下りなかった。
      • 製作委員会に名を連ねていたTBSが許可を出さなかったらしい。
  5. 実現した上記2作以外にも3本ほど幻に終わった作品がある。
    • 特に東宝が絡んでいない作品は実現したことがない。
    • 1999年に公開予定だった松竹版はポスターまで制作されていたが、制作費が調達できず制作中止になってしまった。
    • 勝手に大映が制作発表したことがある。
    • 73年版の続編も作られる予定だったが小松左京が原作を書けずお蔵入り。
  6. 73年版の小道具や特撮セットの作りこみがとにかくすごい。
    • 大地震で崩壊する東京市街地のセットでは画面に映らない部分もリアルに作られている。
    • 劇中に登場する雑誌や新聞のうちニューズウィークとワシントンポストは本物の題字が使われている。
      • 発行時期が74年と明記されており本作の日本沈没は1974年夏から秋にかけての発生と確認できる。
  7. 06年版では東宝の中京地区のスタッフが勝手に名古屋崩壊をイメージしたポスターを作ったため急遽そのシーンが追加された。
    • 一方広島は封切当日の中国新聞広告に「広島の破壊シーンもあります」と記載されていたにもかかわらず避難シーンが少しあっただけ。
    • 札幌、横浜、神戸、福岡などもろくに描写されなかった記憶がある。

テレビドラマ[編集 | ソースを編集]

1974年版[編集 | ソースを編集]

  1. 五木ひろしが歌ったテーマ曲が強烈に印象に残る作品。
    • その五木も14話に航海士役として出演している。
  2. 原作の小説が出る前からTBSでのドラマ化が決まっていた。
  3. 一部のスタッフが同時期に放送された「ウルトラマンレオ」と共通している。
    • 「レオ」の劇中にも本作を思い起こさせるようなシーンがあった記憶がある。
  4. 昭和の芸能に詳しい人がリストを見たら感動すること間違いなしの豪華キャストを誇る。
    • 当時は「キャスティングだけで1億円」と評されたほど。
  5. 再放送中に現実で大地震が発生し打ち切られたことが2回もある。
    • 95年に福岡(RKB?)で再放送中に阪神淡路大震災、16年にCSで再放送中に熊本地震が発生。

2021年版[編集 | ソースを編集]

  1. 上のドラマ版から47年後、同じTBS日曜9時枠で放送される。
  2. 田所博士(香川照之)以外はオリジナルキャラクターの模様。正直不安…。
    • その不安通り?北海道と青森の一部と九州(大分は国東半島のあたりが沈没、沖縄は不明)は沈没せず、またしても完全に沈まなかった。
      • 田所博士の予想通りなら沖縄も大丈夫だったと思われる。
    • 一応潜水艇の「わだつみ」は出てくる。
  3. 原作とは異なる作品だと思って見ればそれなりに楽しめた。
    • 主人公が官僚ということもありシミュレーション色が強かった。
    • その代わりランドマークの破壊シーンは皆無。
      • そもそも話の多くが東京やその近辺だけで収まっている。
  4. おそらく歴代で最も脱出計画がうまくいった作品。
    • 本格的に日本沈没が始まる前に残り数百万人にまで残留者を減らせている。
    • 原作のような脱出拒否者もほぼ出ていないと思われる。
    • しかも脱出後の国民の生活再建までしっかり気を配れている。

ラジオドラマ[編集 | ソースを編集]

  1. 73年にNRNで放送されたバージョンと80年にNHKFMで放送されたものの2種類がある。
    • 後者は「連続ステレオ小説」として制作されたはずなのに後年の再放送はなぜかAM。
  2. NRN版では謎の名称改変が多い。
    • 例:小野寺のフルネームが「小野寺浩介」、登場する潜水艇が「ケマルデック」
    • 一方NHK版は現存する音源を聞く限り原作と描写が極めて近い感じ。
  3. 音源が現存しているかどうかは不明。
    • 両バージョンとも一般人が当時録音した音源の一部がネット上に上がってはいる。

漫画[編集 | ソースを編集]

  1. こちらも旧作と新作の2種類がある。
  2. さいとう・プロによる旧作はかなり原作に忠実。
    • 原作の文章をそのまま使ったと思われる部分も少なくない。
    • ただし阿部玲子の出番が少ないなどの相違点はある。
    • 不適切用語の差し替えと思しき変更もあった。
  3. 一色登希彦による新作は原作・テレビドラマ・映画リメイク版が混ざり合ったような感じ。
    • 東京スカイツリーが出てくるが09年完結のためもちろん東日本大震災の描写はない。
    • 第二次関東大震災の犠牲者数が一番多いのがこのバージョン。
    • こちらも原作同様「第一部 完」だが・・・。

Webアニメ[編集 | ソースを編集]

  1. Netflixで2020年から「日本沈没2020」というタイトルで配信。
  2. ごく普通の一家を描いたこれまでの作品とは似ても似つかぬ内容になる予定。
    • 共通点は日本列島が沈没するところだけ。
      • 一応小野寺は出てきた。
    • 「東京マグニチュード8.0」と酷似した内容になりそうな気がする。
    • 概要を知っただけで拒否反応を起こした原作ファンも多そう。

関連項目[編集 | ソースを編集]